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執筆者の写真Ayumi Kimura

技能実習生も一定の条件で「訪問介護サービス」の従事が可能に

2024年6月19日、訪問介護サービス分野において、外国人労働者の従事制限緩和に関する案をまとめた。という報道が発表されました。


現在、訪問介護サービスに従事できるのは、在留資格「介護」と「EPA介護福祉士候補者」のみとなっています。今後は、初任者研修を修了した技能実習生や在留資格「特定技能」でも従事できるようにする方針を進めています。


本記事では、外国人就労者が従事できる介護分野についての詳細や、現状技能実習生が従事できる分野について解説していきます。





 

目次:


 


1.介護分野の人手不足




介護分野の人手不足は、10年以上前から問題として挙げられていました。

2014年には、介護人材の確保についてどのようにすべきか、現状と見通し、課題と取り組みが議題に上がっているほどです。


すでにこの時点で介護分野、とりわけ訪問介護の不足感が強いとされています。


不足している理由として、離職率が高い・採用が困難であるといった内容が挙げられており、介護人材確保のためにさまざまな施策を講じられてきました。

しかし実際のところ、介護分野での人手不足は解消されておらず、深刻な問題となっています。


1-1.人手不足の原因①少子高齢化


介護分野の人手不足の原因として、少子高齢化が挙げられます。介護が必要になる高齢者が増加し、介護職の担い手である若者が少ない状況です。

2023年時点で、日本の総人口は1億2435万人、65歳以上の人口は3,623万人。65歳以上の高齢者の割合は29.1%となっています。


高齢者の割合は年々増えていくと予想され、2027年には2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上となり、高齢者の割合は38.7%と推測されています。


参考:令和6年高齢社会白書(概要)https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/gaiyou/pdf/1s1s2s.pdf


1-2.人手不足の原因②離職率


介護分野は、離職率が高いとされています。厚生労働省の「雇用動向調査」と介護労働実態調査における入職率・採用率、離職率の調査で離職率は13.1%となっていました。離職率は、年々低下傾向にありますが、まだまだ定着率も低いため今後も離職率が高くならないようにする必要があります。


離職の理由としては、

給与の低さや精神的にも肉体的にもハードである、人間関係に悩みやすいといった内容が上がっていますが、現在は少しずつ離職率が低下しています。


離職率が低下した理由として、


・職場の人間関係が良くなった

・残業削減、有給休暇の取得促進、シフトの見直し等を進めた

・職場全体で介護の質を高めるための意識を共有した

・賃金水準が向上した

・仕事と家庭の両立の支援を充実させた

・訪問介護職・介護職員として適性がない者を採用しないようにしたため


といった回答が上がっています。


この状況を継続させるためにも、余裕のある人材確保がポイントになるでしょう。


参考:介護労働安定センター 実態調査 https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousagaiyou.pdf


1-3.採用が困難である


介護職のイメージはキツイ・汚い・危険というものが払拭されません。そのため未経験者や若い世代が介護職に就くことに対する不安を抱いているため、採用が難航しているという状況も少なくありません。


2.介護分野における人手不足解消のために





少子高齢化は、今後も続く課題です。そのなかで介護分野は大きな役割を担います。しかし、人手不足は国内だけで解消することが難しいのも現状です。

そのため、外国人労働者が担い手となってくれることにより人手不足が解消されていくと考えられます。


今回厚生労働省から発表された、訪問介護サービス分野での外国人労働者の従事制限緩和に関する案も人手不足解消の一手なっています。

現状、外国人労働者が介護分野で働ける在留資格は、「介護」と「EPA介護福祉士候補者」です。


介護分野に関係する在留資格と取得条件について詳しく見ていきましょう。


3.介護分野で働ける在留資格





介護分野で働ける在留資格は、大きく分けて4つあります。

在留資格「介護」「「EPA介護福祉士候補者」「技能実習1号〜3号」「特定技能1号」今後、技能実習に代わり育成就労が新たに創設される予定ですが、現時点の在留資格について解説していきます。


3-1.在留資格「介護」


在留資格「介護」は2017年に創設された制度です。

介護福祉士の資格を持つ外国人が、介護業務に従事するのを目的とした制度となっています。


在留資格「介護」の取得要件として、


・3年以上介護の実務経験があり、介護福祉士として、国または都道府県知事が指定した養成施設において6ヶ月以上知識を技術を習得した人


・3年以上介護の実務経験があり、喀痰吸引等研修、介護職員初任者研修、旧ホームヘルパー1〜3級課程、介護職員基礎研修またはこれらに準ずる課程のいずれかを修了した人

とされています。


在留期間は、3ヶ月・1年・3年・5年のいずれかで更新、更新回数の制限がないため永続的に日本国内で働くことができます。


また、家族の帯同も可能なので、日本に定年まで家族と共に暮らし働きたいと考えている外国人労働者に向いている在留資格と言えるでしょう。

従事できる介護業務の制限もなく、どのような介護業務でも従事可能です。


必要な日本語能力もN2以上となっており、複雑な業務を遂行する上でコミュニケーションが取りやすい言語レベルとなっています。


※N2レベル・・・日本語能力試験のレベル。N1〜N5レベルまで分類されており、N1がもっとも難しくN5が易しいレベルです。


N2のレベルは主に、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。


3-2.EPA介護福祉士候補者


2008年より、受け入れが開始されたEPA介護福祉士候補者。この制度は、日本と相手国(インドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国)の経済上の連携を強化する目的と、日本の介護施設で就労・研修をしながら日本の介護福祉士資格の取得を目指すものとされています。


在留期間は4年となっていますが、介護福祉士国家試験を再受験する場合は1年の延長が可能となっています。


要件は国によって異なります。要件を満たした人は、日本で必要な資格は特になく介護福祉士の国家試験を受験するのが条件です。


※要件・・・看護学校卒業者 又は 四大卒業者(インドネシアの場合には3年以上の高等教育機関卒業者)であり母国での介護士資格認定者


従事できる業務として、介護保険3施設・認知症グループホーム・特定施設・通所介護・通所リハビリ・認知症デイ・ショートステイとなっています。

日本語能力はN3またはN5レベルです。


インドネシア・フィリピンは日本語能力試験N5レベル相当、ベトナムは日本語能力試験N3レベル相当となっています。


※N3レベル・・・日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。

N5レベル・・・基本的な日本語をある程度理解することができる。


EPA介護福祉士候補者の受け入れは、協定に基づく唯一の受け入れ調整機関である国際構成事業団が行なっています。


3-3.技能実習


技能実習制度は、1997年に創設され30年以上にわたり運用されている制度です。技能実習制度の目的は、日本の技術や技能、知識を途上国へ転移し、その地域の経済発展を促すためとされています。


目的が技術や技能を途上国へ転移するためとされていることから、在留期間は最長で5年となっています。


技能実習は1号から3号に分類されており、技能実習1号の在留期間は1年、技能実習2号・3号は2年と設定されています。

それぞれの実習期間に技能実習評価試験に合格することで1号から2号へ、2号から3号への在留資格の移行が可能です。


必要な資格は特になく、技能実習評価試験と日本語能力試験に合格(技能実習の要件)となっています。


従事可能な業務内容は、訪問系のサービス以外が可能となっていますが、今後は従事可能業務が緩和され、一定の条件を満たす場合訪問看護も従事可能になります。

日本語能力はN3以上が望ましいとされています。


3-4.特定技能1号


特定技能は、2019年4月に設立した在留資格です。国内において、人材を確保することが困難な12分野を対象に一定の専門性・技術を有する外国人を受け入れることが目的となっています。


特定技能1号の在留期間は通算で5年となっています。

必要な資格は特になく、特定技能1号を取得するための要件をクリアしていれば良いとされています。


在留期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更できるため、定年まで永続的に働くことが可能です。


技能実習と同様に従事できる業務内容は、訪問サービス以外とされています。今後緩和され、一定の条件を満たす場合訪問サービスの従事も可能となります。

日本語レベルはN4以上となっています。


4.初任者研修




介護分野の在留資格は上記の4つとなっており、現在訪問介護サービスに従事できるのは、在留資格「介護」と「EPA介護福祉士候補者」に限られています。


しかし今後は、初任者研修を修了した技能実習生や特定技能の人も従事できるようにする方針となっています。


初任者研修とはどのような資格なのか確認していきましょう。


4-1.初任者研修の資格内容


介護職員初任者研修は、以前までホームヘルパー2級という名称でした。ホームヘルパー2級という名称が廃止され、介護職員初任者研修という名称に変更となったのです。

介護職員としてのスタート資格となっています。


初任者研修は、講義と演習から構成されており130時間のカリキュラムを修了後、試験に合格することで取得できます。


カリキュラム内容として、

①職務の理解

②介護における尊厳の保持・自立支援

③介護の基本

④介護・福祉サービスの理解と医療との連携

⑤介護におけるコミュニケーション技術

⑥老化の理解

⑦認知症の理解

⑧障害の理解

⑨心の体の仕組みと生活支援技術

⑩振り返り

で構成されています。


この中に演習も含まれており、演習ではベッドメイキングや体位交換、衣類の着脱や排泄の介助、食事の介助や口腔ケア、歩行や移乗の介護などがあります。


これらの講義を修了し合格すれば、介護職員初任者研修の資格を取得することが可能です。

上記のカリキュラムは一般的な日本人向けの内容となっています。


外国人向けの講習もあり、授業時間を多めに取ったり介護現場に必要な日本語を学べるカリキュラムを設定している専門学校も存在します。

本格的に技能実習や特定技能1号でも訪問介護サービスに従事できるようになった場合は、専門の学習機関も出てくる可能性もあるでしょう。


5.介護業界の大切な担い手として




介護業界は長年の人手不足からじょじょに回復の兆しを見せています。

離職率が下がり、定職率が上がってきたのは人間関係や賃金、休暇を取れるといった理由が主となっています。

働きやすさや休暇は、人手に余裕があってこそ潤滑に回っていくものです。今後も離職率をさらに下げていくためにも、外国人労働者は日本にとっていなくてはならない大切な存在となっていくでしょう。



 

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