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  • 執筆者の写真Ayumi Kimura

【新制度】育成就労制度に先行|技能実習生の来日費用を企業側が負担

在留資格である技能実習は、1993年に創設された制度です。そこから30年間、外国人技能実習生を企業側が技能実習計画に基づき技能を習得しています。


技能実習制度において、さまざまな問題が浮き彫りとなってきました。また、それに伴い新たに「育成就労制度」が2027年を目安に新設されます。


育成就労制度では、外国人就労者の負担を軽減できるような方針となっており、それに先行して技能実習においても、来日費用の負担を軽減しようという取り組みが発表されました。

本記事では、技能実習制度や育成就労制度についてや技能実習生への来日費用の軽減について解説していきます。





 

目次:

 


1.技能実習生の来日費用の軽減




技能実習生の来日費用を採用する企業側が5割以上負担するという指針が2024年6月20日に報道されました。


国際協力機構(JICA)とベトナム政府や国際労働機関(ILO)により技能実習生の負担を軽減することが目的とされています。


従来は、技能実習生が送り出し機関や渡航費用を負担していました。そのため、日本に来た時点で借金をしている技能実習生も少なくありません。


借金をして来日するという状況は国際的にも批判がありました。それらを払拭するために、今回新たに技能実習生の来日費用を軽減するという指針を出したのです。


また、2027年から開始される育成就労制度では企業側が負担するため、それに先立って負担を軽減するように進めていると推測されます。

この取り組みは、早ければ今秋から開始される見込みとなっています。


2.技能実習制度





1997年に創設され約30年以上運用されている技能実習制度。この制度の概要と、技能実習生を受け入れるにあたり必要な費用について確認していきましょう。


2-1.技能実習制度の概要


技能実習制度とは、前述のとおり1997年から運用されてきた制度です。目的は、日本の技術や技能、知識を途上国へ移転し、その地域の経済発展を促すためとされています。


技能実習生として、日本で得た技術や技能などを母国へ伝え、さらなる発展を目指すための制度のため、技能実習生が日本で在留できる期間は5年と定められています。


2-2.企業側が技能実習生を受け入れるために必要な費用


従来では、技能実習生を受け入れるために必要な費用として、


・初期費用

・給与

・管理費

・その他諸経費


が挙げられます。今後は、上記の費用プラス送り出し機関への費用や渡航費の負担が必要です。

費用についての詳細は以下の通りです。


①初期費用


初期費用にはおおよそ50万円前後必要とされています。

初期費用は、技能実習生が入国し配属するまでに必要な費用です。費用詳細として、事前準備としてかかる費用・入国準備にかかる費用・配属までにかかる費用に分けられます。


【事前準備としてかかる費用】

この費用は、技能実習生を受け入れるために管理団体に加入するために必要な費用です。

管理団体入会費・・・1万円〜3万円

管理団体年会費・・・1万円〜10万円(毎年)

JITCO賛助会費 ・・・5万円〜15万円(毎年)

技能実習生を受け入れる方法として、企業単独型と団体管理型があります。多くの企業が管理団体を通じて技能実習生を受け入れます。そのため、管理団体への入会費や年会費が発生するのです。


海外に支店や取引先がある企業であれば、管理団体を通じずに受け入れが可能なため上記の管理団体費は発生しません。しかし、技能実習生を受け入れる企業の90%以上が管理団体を通じて受け入れています。


【入国準備としてかかる費用】

技能実習生が送り出し国から日本に来るまでに必要な費用です。

入国前健康診断・・・1万円前後

入国前現地教育費・・3万円前後

入国渡航費用・・・・6万円前後


【配属までにかかる費用】

申請手続きや入国後にかかる費用が、配属までにかかる費用とされています。

在留資格書類作成指導費・・・3万円前後

外国人技能実習生総合保健・・3万円前後

入国後講習費用・・・・・・・6万円〜10万円

講習手当・・・・・・・・・・6万円前後

雇入時健康診断・・・・・・・1万円前後

配属対応費(交通費)・・・・3万円前後


②給与


給与は、最低賃金以上の設定が必要です。そのためおおよその額で20万円前後かかるとみてください。


しかし、最低賃金に設定した場合、手取り額があまりに低いと技能実習生が配属されない可能性や、金銭トラブルや失踪といったケースも発生しています。


③管理費


管理団体が、技能実習を管理監督するための費用として組合管理費が月額発生します。1名あたり3万円から5万円が相場です。


そのほかに、送り出し管理費として、現地の送り出し機関に対して毎月の管理費が発生します。国や機関によって異なりますが5千円から1万円前後と考えておいてください。


④その他諸経費


その他諸経費には、寮費や在留資格更新費用、技能検定費用などがあります。

技能実習生を受け入れる企業は、技能実習生の住居を提供しなくてはなりません。


そのため、寮費として、初期費用や家具家電の準備や家賃が必要となってきます。地域によって相場が異なりますが寮費の初期費用として、30万から35万ほどかかり月々の家賃も一部負担する形となります。


そのほかの諸経費として、

在留資格更新費用・・・・3万円前後

計画認定審査料・・・・・3千9百円

技能検定費用・・・・・・3万円前後

帰国渡航費用・・・・・・6万円前後

などが発生します。


〈管理団体とは…〉

管理団体の役割はいくつかあります。技能実習生を受け入れるにあたり、管理団体のサポートは欠かせません。どのような役割を担っているのでしょうか。


1.送り出し機関との契約

技能実習生は海外の送り出し機関を通じて受け入れます。その送り出し機関を選定し窓口となるのが管理団体になります。


技能実習生が安心して日本で技術や知識を得られるために、優良な送り出し機関を選んであげなくてはなりません。


送り出し機関が悪質な場合、技能実習生が多額な手数料や保証金を取られてしまい、最終的には失踪につながる可能性も少なくありません。


健全でしっかりと教育をしてくれる送り出し機関を選んでくれる、それも管理団体の大事な役割の一つです。


2.技能実習計画の作成

技能実習生を受け入れるために、技能実習計画を作成し日本と母国の2国間で認定が必要です。


技能実習生がどのような仕事を通じて技能や知識を習得するのか、技能実習制度の目的に沿った内容で記載しなくてはなりません。

技能実習計画書の作成は管理団体の職員と連携して行います。そのため、知識が豊富であるというだけではなく、しっかりとレスポンスをしてくれる職員が在籍している管理団体を選んでください。


3.入国後講習

技能実習生は来日後1ヶ月の入国後講習が必要です。入国後講習の実施は管理団体が行うか、講習を行なっている箇所への依頼をするのも管理団体の役目とされています。

入国後講習は、日本語や日本での生活の上で必要なマナーの講習や、技能実習制度についてや法律を学びます。


4.訪問指導

技能実習1号の場合、1ヶ月に1回以上の訪問指導が必要です。内容としては、技能実習の実施状況の確認・指導となります。訪問指導を行った際は、訪問指導内容を記録して保管し、年に1度技能実習機構へ提出します。


5.監査

3ヶ月に1回以上、管理団体は監査を行います。

技能実習生が計画内容と異なる作業時従事していないか、受け入れ企業が法令に違反していないかを管理責任者の下、監査が行われます。


6.技能実習生の相談窓口

技能実習生が受け入れ企業に相談できない状況に陥っている可能性も少なくありません。そのため、管理団体は技能実習生が直接相談できる体制を整えている必要があります。


7.帰国対応

技能実習終了後、技能実習生が円滑に帰国できるようにサポートします。


3.技能実習制度から育成就労制度への移行




現在、技能実習生の来日費用の5割以上を採用企業が負担することを求める指針は、2027年より開始される新制度「育成就労」に先立った取り組みとなっています。


育成就労では、本人の費用負担を軽減し、外国人就労者が渡航しやすいような環境を作り、日本での人材不足を解消することを目的としています。


3-1.育成就労制度とは


育成就労制度は、2027年から開始予定の在留資格です。

技能実習制度が廃止され、その後新たに創設されます。技能実習制度の目的は母国への技術や知識の移転でしたが、育成就労制度の目的は人材確保となっています。


技能実習制度では、最長5年の在留期間が認められていましたが、育成就労制度では原則3年となっています。その後は、特定技能への移行となり特定技能2号を取得すれば永住が認められるため、長期にわたって日本の企業の大事な働き手となり得るのです。


また、育成就労制度では、外国人就労者にとって費用面での負担が軽減されます。技能実習生は現状日本へ入国するために必要な送り出し機関への手数料や渡航費を自身が負担していました。


そのため、来日前に借金を作って就労していたのです。それが解消され、外国人就労者にとって来日しやすく、企業側はより良い人材を確保しやすい環境が整うと見込まれています。


4.これから技能実習生を受け入れる際に注意しておきたいこと





技能実習生を今秋以降受け入れる場合は、従来より費用がかかることを念頭においておく必要があります。


従来までは、送り出し機関への手数料や渡航費用は技能実習生が負担していました。しかし、今後は企業側が5割以上負担する必要があります。


それだけであれば問題ありませんが、2027年には新たに育成就労制度が開始されます。

技能実習制度と育成労働制度で、就労できる業種が異なります。今まで技能実習生を人材として雇っていた場合、同様の業種で就労できなくなる可能性があるのです。


育成就労制度は、特定技能への移行に基づいた業種が対象となる予定です。今後、対象業種が増える可能性もありますが、そのあたりは明確にされていません。


技能実習生を受け入れる時期や期間、育成就労制度が開始される時期を考慮した上で、いつ受け入れるのか、今後どうするのかを検討していくのが良いでしょう。


5.変化に応じた情報収集を





外国人就労者に対する対応や、制度は現在大きく変わりつつあります。新たな在留資格の創設、それに伴い従来の在留資格の廃止。さらに創設される在留資格に先行した指針の発表。


さまざまな変化があるなかで、柔軟な対応が求められます。より良い人材を求め、選ばれる企業であるためには、できる限り早く情報を入手しそれに対応しなくてはなりません。



 


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