日本の労働市場における人手不足を背景に、特定技能制度は2019年に導入されました。この制度は、特定の技能を持つ外国人労働者を受け入れることで、産業界の労働力不足を補完することを目的としています。本記事では、特定技能在留外国人数の国籍別状況と、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次:
1.特定技能制度とは
特定技能制度は、日本の特定産業分野における人手不足を解消するために設けられた在留資格であり、以下の2種類があります。
特定技能1号: 相当程度の知識または経験を必要とする技能を有する外国人向けで、在留期間は最長5年です。
特定技能2号: 熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けで、在留期間の上限はなく、家族の帯同も可能です。
特定技能1号で認められている業種は以下の16分野です。
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・船用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業
鉄道
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業
木材産業
出入国在留管理庁参考
特定技能2号については現在11分野
以前は建設分野と造船・船用工業分野のみでしたが、2023年6月に9分野が追加されました。
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・船用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
介護分野は特定技能2号対象外です。在留資格「介護」という制度が設けられています。
2.特定技能在留外国人数の国籍別状況
特定技能在留外国人数は年々増加しており、国籍別に見ると以下のような傾向があります。
ベトナム: 特定技能在留外国人の中で最も多くの割合を占めています。ベトナムは日本との経済的・文化的交流が深く、多くの技能実習生が特定技能に移行しています。
インドネシア: 製造業や建設業での需要が高く、多くの労働者が特定技能資格を取得しています。
フィリピン: 介護分野を中心に多くのフィリピン人労働者が活躍しています。英語力とホスピタリティ精神が評価されています。
中国: 伝統的に多くの中国人労働者が日本で働いており、特定技能制度でも一定数の在留者がいます。
ミャンマー: 近年、特定技能制度を利用して来日する労働者が増加しています。
ネパール:日本の特定技能制度に基づく外国人労働者の主要な供給国の一つとして注目されています。
以下のグラフは、特定技能在留外国人数の国籍別割合を示しています。
3.国籍別のメリット・デメリット
ベトナム
メリット:
勤勉さと適応力: ベトナム人労働者は勤勉であり、新しい環境への適応力が高いと評価されています。
日本語能力: 多くのベトナム人労働者は来日前に日本語を学習しており、コミュニケーションが円滑です。
デメリット:
文化的差異: 一部の企業では、文化の違いからくる労働観や価値観の相違が課題となることがあります。
インドネシア
メリット:
技術力: 製造業や建設業での経験を持つ労働者が多く、即戦力として期待できます。
宗教的価値観: イスラム教徒が多く、誠実で真面目な労働者が多いとされています。
デメリット:
宗教的配慮: 礼拝時間や食事制限など、宗教的なニーズに対応する必要があります。
フィリピン
メリット:
英語力: フィリピン人労働者は高い英語力を持ち、多国籍な職場でのコミュニケーションに強みがあります。
介護分野での適性: ホスピタリティ精神が強く、介護分野で高い評価を受けています。
デメリット:
日本語能力のばらつき: 日本語学習の機会や環境によって、日本語能力に差が見られることがあります。
中国
メリット:
文化的近似性: 漢字文化や食文化など、日本と共通点が多く、適応しやすいとされています。
高い教育水準: 多くの中国人労働者は高い教育を受けており、専門知識を持っています。
デメリット:
賃金面での期待: 一部の労働者は高い賃金を期待しており、給与面での調整が必要な場合があります。
ミャンマー
メリット:
向上心: 新しい技術や知識を積極的に学ぶ姿勢が強いとされています。
協調性: チームワークを重視し、協調性の高い労働者が多いです。
デメリット:
政治的背景: 母国の政治情勢が不安定なため、精神的なサポートが必要な場合があります。
ネパール
メリット:
ネパール人労働者は非常に勤勉で真面目に働く姿勢が評価されています。また、穏やかな性格で職場での協調性が高いことが特徴です。
ネパール人は仏教やヒンドゥー教の影響を受け、日本文化や習慣への理解が深まりやすい傾向があります。
ネパール人は英語を話す能力を持つ人が多く、多国籍な職場でもコミュニケーションに強みを発揮します。
デメリット:
英語に堪能な一方で、日本語能力が十分でないケースも見られ、特に業務での専門的な会話が課題となることがあります。
ネパールにはヒンドゥー教徒や仏教徒が多く、特に食事に関する制限(菜食主義や特定の食材の摂取制限)がある場合、職場環境での配慮が必要です。
4.日本全国の特定技能在留外国人数の状況
2024年6月末時点で、特定技能在留外国人数は約25万1,747人に達しています。
まとめ
特定技能制度は、日本の労働力不足を補う重要な取り組みとして期待されています。
しかし、その成功の鍵は、国籍ごとの特性や課題を理解し、適切なサポート体制を整えることにあります。
各国から来日する労働者は、それぞれ異なる文化的背景や言語能力、専門性を持っています。これらの違いを尊重し、職場での円滑なコミュニケーションや労働環境の整備に努めることで、双方にとってメリットのある関係を築くことが可能です。
企業側は、文化的な違いや宗教的なニーズに配慮することで、外国人労働者が安心して働ける環境を提供する必要があります。また、賃金や福利厚生の面で透明性を持つことも、長期的な雇用関係を築くためには重要です。
一方で、労働者側も日本の労働文化やルールを理解し、互いに協力する姿勢が求められます。
特定技能制度を通じて、多様な背景を持つ人々が活躍する場を広げることは、日本社会全体の国際化や競争力の向上にも寄与します。
企業や地域社会が積極的に外国人労働者を受け入れ、多文化共生を目指す取り組みを進めていくことで、より良い未来を創造していけるでしょう。
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