目次
4.よくある質問
6.まとめ
製造業での労働力不足に悩むあなたへ。日本の製造業界は少子高齢化に伴う人手不足という深刻な課題を抱えています。特定技能制度を活用すれば、この問題を解決し、多様な人材を活用する新たな可能性が広がります。
本記事では、特定技能「工業製品製造業分野」の概要から具体的な手続き、受け入れのメリットまで詳しく解説します。これを読めば、特定技能外国人を効果的に受け入れ、企業の成長と持続的な発展に繋げるための道筋が見えてくるでしょう。
1.特定技能工業製品製造業とは?
特定技能工業製品製造業分野の概要
特定技能工業製品製造業分野とは、日本の製造業における人手不足を解消するために、一定の技能と専門性を持つ外国人材を受け入れるための在留資格の一つです。この資格は、特定の製造業分野で即戦力として働ける外国人を対象としており、企業が必要とする技術や能力を持った人材を雇用することが可能です。
特定技能工業製品製造業分野には、多岐にわたる業種が含まれます。以下に主な種類を挙げます。
◾️素形材産業分野
鋳型製造業(中子を含む)
鉄素形材製造業
非鉄金属素形材製造業
配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
金属素形材製品製造業
金属熱処理業
◾️産業機械製造業分野
機械刃物製造業
ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
はん用機械器具製造業(ただし、消火器具・消火装置製造業を除く)
生産用機械器具製造業
業務用機械器具製造業(ただし、医療用機械器具・医療用品製造業および武器製造業を除く)
◾️電気・電子情報関連産業分野
電子部品・デバイス・電子回路製造業
電気機械器具製造業(ただし、内燃機関電装品製造業を除く)
情報通信機械器具製造業
◾️その他追加業種(2024年度から適用)
鉄鋼業
金属製サッシ・ドア製造業
プラスチック製品製造業
紙器・段ボール箱製造業
コンクリート製品製造業
陶磁器製品製造業
紡織製品製造業
縫製
RPF製造
印刷・製本
こん包業
これらの業種は、日本の製造業における多様な分野で外国人労働者が活躍できるように設定されています。特定技能工業製品製造業分野の適用により、各業種での労働力不足を解消し、企業の発展を支援することが期待されています。
この制度の導入により、日本の製造業界は労働力不足を補い、産業の活性化を図ることができます。特に、高度な日本語スキルを必要とせず、未経験者でも始めやすい職種が多いことから、外国人労働者にとっても魅力的な分野となっています。
工業製品製造業分野はいつから適用?
工業製品製造業分野は、2024年3月29日に政府の閣議決定により適用されることが正式に発表されました。これにより、従来の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」から「工業製品製造業分野」へと名称が変更され、さらに多くの業種と業務区分が追加されました。
【2024年から追加された業種】
業種 | 詳細 |
鉄鋼業 | 鉄鋼製品の製造に関わる業種が新たに追加されました。これにより、鉄鋼の製造プロセスに特化した技能を持つ外国人労働者を受け入れることができます。 |
金属製サッシ・ドア製造業 | 建築用の金属製サッシやドアの製造業が対象となりました。これにより、建築関連製品の製造に従事する外国人労働者が求められます。 |
プラスチック製品製造業 | プラスチック製品の製造に関わる業種が追加されました。これにより、プラスチック成形や加工に特化した技能を持つ外国人労働者が受け入れられます。 |
紙器・段ボール箱製造業 | 紙器や段ボール箱の製造業も新たに対象となりました。包装材料の製造に関わる技能を持つ外国人労働者が活躍することが期待されます。 |
コンクリート製品製造業 | コンクリート製品の製造に関わる業種が追加されました。建設関連の製品製造に従事する技能者が求められます。 |
陶磁器製品製造業 | 陶磁器製品の製造業も対象となり、陶芸や陶磁器の製造技術を持つ外国人労働者を受け入れることができます。 |
紡織製品製造業 | 繊維製品の製造業が新たに追加されました。織物や布製品の製造に従事する技能者が求められます。 |
縫製 | 縫製業が対象となり、衣類やその他布製品の製造に従事する技能を持つ外国人労働者を受け入れることができます。 |
RPF製造 | RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)の製造業も新たに追加されました。廃棄物を原料とする固形燃料の製造に従事する技能者が必要です。 |
印刷・製本 | 印刷業や製本業も対象となりました。印刷技術や製本技術に特化した技能を持つ外国人労働者が求められます。 |
こん包業 | 包装業も新たに追加され、包装技術に従事する外国人労働者を受け入れることが可能となります。 |
この適用時期に合わせて、各企業は受け入れの準備を進める必要があります。例えば、受け入れ企業は特定技能外国人材受入れ協議・連絡会に参加し、必要な手続きを完了させることが求められます。また、企業内の受け入れ体制を整えるとともに、特定技能試験の実施や合格者の雇用契約締結なども必要となります。
これにより、日本の製造業はより多様な外国人材を活用できるようになり、労働力不足の解消と産業の持続的な発展が期待されています。
2.特定技能工業製品製造業の業務区分
特定技能製造業の職種と業務内容
特定技能製造業の職種と業務内容は、日本の製造業界における多岐にわたる分野に対応しています。この分野では、外国人労働者が持つ技能と専門知識を最大限に活用することが求められます。ここでは、特定技能製造業における主要な職種とその業務内容について詳しく説明します。
まず、特定技能製造業に含まれる職種には、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理などが挙げられます。これらの職種は、それぞれ高度な専門技能を必要とし、具体的には以下のような業務を行います。
機械金属加工の職種では、普通旋盤やフライス盤、数値制御旋盤を使用して金属部品を加工します。これにより、機械の部品や工具を製造することができます。さらに、金属プレス加工では、プレス機械を使用して金属シートを加工し、製品の形状を作り上げます。
電気電子機器組立ての職種では、電子部品やデバイス、電子回路の組立て作業を行います。具体的な業務内容としては、半導体素子の組立てや配線作業、電子機器のテストと調整が含まれます。この職種では、高度な技術と精密さが求められます。
金属表面処理の職種では、金属製品に対してめっきや塗装を行い、耐久性や耐食性を向上させます。電気めっきや溶融めっき、塗装作業は、製品の品質を保つために非常に重要な業務です。
また、特定技能製造業には、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、縫製、RPF製造、印刷・製本などの業務も含まれます。これらの業務では、それぞれの分野で求められる専門技術を持つ外国人労働者が活躍しています。
特定技能製造業の職種と業務内容は多岐にわたり、それぞれの業務において高度な技能と専門知識が必要とされます。これにより、日本の製造業界は、労働力不足を解消し、さらなる発展を遂げることが期待されています。
3.製造業特定技能協議会への参加方法
協議会の役割と重要性
協議会の役割と重要性は、特定技能外国人を受け入れる企業にとって非常に大きな意味を持ちます。この協議会は、特定技能制度の適切な運用と管理を支援するために設立されました。具体的には、以下のような役割を担っています。
まず、協議会は特定技能外国人の受け入れ企業が法令を遵守するためのガイドラインを提供します。これには、労働条件の適正化や就業環境の整備が含まれます。特定技能外国人が安心して働ける環境を整えることで、企業の労働力確保と外国人労働者の権利保護を両立させることができます。
さらに、協議会は企業間での情報共有と連携を促進します。特定技能外国人を受け入れるにあたり、各企業は様々な課題に直面することがあります。協議会はこれらの課題に対する解決策を提供し、成功事例や失敗事例を共有する場を提供します。これにより、企業間の連携が強化され、より効果的な外国人労働者の受け入れが可能となります。
また、協議会は政府との窓口としての役割も果たします。特定技能外国人制度に関する最新の情報や規制の変更を企業に迅速に伝えることで、企業が適切な対応を取れるよう支援します。これにより、制度運用の透明性と信頼性が向上し、特定技能外国人の受け入れが円滑に進むようになります。
このように、協議会の役割と重要性は特定技能外国人の受け入れを成功させるために不可欠です。企業が協議会を活用することで、より良い就業環境を提供し、労働力不足の解消に貢献することが期待されます。
協議会参加のための手続き
協議会参加のための手続きは、特定技能外国人を受け入れる企業にとって重要なステップです。以下に、具体的な手続きの流れを説明します。
1. 申請書の準備
まず、協議会の公式ウェブサイトから申請書を確認します。この申請書には、企業の基本情報や特定技能外国人を受け入れる事業所の詳細を記入します。特に、受け入れ予定の業務内容や職種に関する情報を正確に記載することが求められます。
2. 必要書類の準備
必要な証明書類を準備します。これには、企業の登記事項証明書や事業計画書、労働条件通知書などが含まれます。
書類 | 内容 |
企業の登記事項証明書 | 企業の基本情報を確認するための書類 |
事業計画書 | 受け入れ予定の特定技能外国人の業務内容や計画を明記した書類 |
労働条件通知書 | 外国人労働者の雇用条件(給与、労働時間、業務内容など)を示す書類 |
製造品の出荷実績 | 製造業の場合は、直近の製造品の出荷実績を示すデータが必要 |
その他必要な書類
請負による製造の場合や、製造品等の画像を提出できない場合など、特定の条件に応じた追加書類が必要です。
協議・連絡会より追加提出の指示があった場合の書類。
これらの書類は、すべてテンプレートに基づいて作成する必要があります。テンプレートは、特定技能外国人材制度ポータルサイトからダウンロード可能です。書類の不備がないよう、事前に準備と確認を徹底することが重要です。
3. 提出方法の選択
申請書と証明書類を準備したら、提出方法を選択します。以下の2つの方法があります。
紙での提出: 申請書と証明書類を印刷し、郵送で協議会事務局に提出します。郵送先の住所は、協議会の公式ウェブサイトで確認できます。
オンライン提出: オンライン提出が可能な場合は、協議会の公式ウェブサイトからオンライン申請フォームにアクセスし、必要な情報を入力し、証明書類をアップロードします。オンライン提出は、手続きが迅速に進むため、多くの企業にとって便利です。
4. 審査と承認
提出後、協議会事務局による審査が行われます。審査には通常2ヶ月程度かかりますが、内容に問題がなければ承認されます。審査結果は、郵送またはオンラインで通知されます。
5. 登録と参加
審査が完了すると、企業は協議会の構成員として登録されます。この登録により、企業は特定技能外国人の受け入れに関する情報やサポートを受けることができます。また、協議会の会合や研修にも参加できるようになり、他の企業との情報交換や連携を図ることができます。
協議会参加のための手続きまとめ
協議会参加のための手続きは、紙での提出とオンライン提出の両方が可能です。どちらの方法も、適切な書類の準備と正確な情報の記載が重要です。企業が適切な手続きを踏むことで、安心して外国人労働者を受け入れ、労働力不足の解消に貢献することができます。
4.よくある質問
Q1.主たる事業が製造3分野に該当しない場合でも受け入れは可能ですか?
主たる事業が製造3分野に該当しない場合でも、その事業の一部が製造3分野に該当し、製造品の出荷額が発生している場合は受け入れが可能です。ただし、特定技能外国人が従事できるのは、該当する製品の製造工程のみです。
Q2.協議会の入会手続きはいつ行うべきですか?
入会手続きは、出入国在留管理庁への在留諸申請の前に行う必要があります。申請前に協議会の構成員となることが必須です。
Q3.入会手続きから登録までの期間はどれくらいですか?
入会手続きから登録までの期間は通常2ヶ月程度かかります。現在は届出件数が多いため、通常よりも時間がかかる場合があります。不備がある場合は個別に連絡されます。
Q4.事前に入会・登録が必要なものはありますか?
製造3分野において、受け入れ協議・連絡会の構成員になる他に事前に入会・登録が必要なものは特にありません。
Q5.同一法人の複数事業所での受け入れに際して、本社工場だけの入会で良いですか?
いいえ、特定技能外国人を受け入れる事業所ごとに協議会への入会が必要です。同一法人でも複数の事業所で受け入れる場合は、それぞれの事業所ごとに入会手続きを行わなければなりません。
Q6.受け入れ協議・連絡会の入会費や年会費はかかりますか?
令和4年度は入会費、年会費ともに無料です。令和5年度以降については、決まり次第協議・連絡会や経済産業省のホームページで告知されます。
Q7.他の事業区分で1号特定技能外国人を追加で受け入れる場合、再度届出が必要ですか?
はい、再度届出が必要です。受け入れ協議・連絡会のホームページのマイページから再度手続きを行ってください。
Q8.受け入れ可能な事業所かどうかはどう判断すれば良いですか?
受け入れ可能な事業所かどうかは、日本標準産業分類に基づき判断します。まず、「日本標準産業分類(平成25年10月改定)の大分類 E 製造業(総務省)の一覧」及び「説明及び内容例示」から確認し、経済産業省の説明資料で再確認してください。
Q9.同一企業内の別事業所への出荷は、どのように証明すれば良いですか?
同一企業内の別事業所への出荷は、直近1年以内の証跡画像(納品書、出荷指示書、仕入れ書など)で証明できます。金額を示すものがない場合は、その理由を記載する必要があります。
Q10.「製造品出荷額等が発生している」ことを証明する書類にはどのようなものがありますか?
「製造品出荷額等が発生している」ことを証明する書類には、納品書、出荷指示書、仕入れ書、出荷実績報告書などが認められます。具体的な内容を含めて提出してください。
5.特定技能試験の業種
特定技能試験の概要と種類
特定技能試験は、日本で働く特定技能外国人を受け入れるために必要な試験で、その目的は特定の産業分野における技能と日本語能力を確認することです。この試験には、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。それぞれの試験は、対象となる業務の種類と技能のレベルに応じて実施されます。
特定技能1号試験は、相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事する外国人向けです。試験内容は、技能試験と日本語試験の2つの部分から構成されています。技能試験では、具体的な作業や技術に関する知識が問われ、実技試験として実施されることもあります。一方、日本語試験では、日常生活や業務に必要な日本語能力が求められます。日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル以上が基準となります。
特定技能2号試験は、より高度な技能を要する業務に従事する外国人向けです。この試験は、特定技能1号を修了した外国人が受けることができ、技能試験のみが課されます。特定技能2号では、日本語能力試験は不要で、実務経験と技能の熟練度が評価されます。
これらの試験は、日本国内だけでなく、海外でも実施されており、試験に合格した外国人は特定技能ビザを取得して日本で働くことができます。このように、特定技能試験は、外国人が日本の労働市場に適応し、即戦力として働くために必要な制度です。
特定技能の食品製造業にはどんな種類があるか
特定技能の食品製造業には、さまざまな種類があり、外国人労働者が幅広い業務に従事することができます。この分野では、主に食品の製造、加工、包装、品質管理などが含まれます。
具体的には、以下のような業務があります。
食品製造: 食品製造業では、パン、菓子、飲料、調味料、加工食品などの製造を行います。これには、原材料の準備、調理、加工、包装、出荷などの工程が含まれます。特定技能外国人は、これらの工程の一部または全てに従事することができます。
飲料製造: 飲料製造業では、アルコール飲料、ジュース、炭酸飲料、水などの製造が行われます。特定技能外国人は、飲料の製造ラインでの作業や品質管理に携わることが多いです。
菓子製造: 菓子製造業では、チョコレート、クッキー、ケーキなどの製造を行います。これには、材料の計量、混合、焼成、包装などの作業が含まれ、特定技能外国人はこれらのプロセスに関与します。
調味料製造: 調味料製造業では、醤油、味噌、ソース、ドレッシングなどの製造を行います。特定技能外国人は、これらの製品の製造工程や品質管理、包装作業を担当します。
これらの業務では、特定技能外国人は、食品の安全性や衛生管理を徹底することが求められます。また、食品製造業の各工程において、高い技術と正確性が必要とされるため、特定技能外国人には相応の訓練と経験が求められます。
このように、特定技能の食品製造業は多岐にわたる業務を含んでおり、外国人労働者が活躍できる場が広がっています。これにより、日本の食品製造業界の労働力不足を補い、産業の発展に寄与しています。
6.まとめ
特定技能「工業製品製造業分野」は、日本の製造業における人手不足を解消し、産業の持続的な発展を図るための重要な制度です。この制度の導入により、企業は特定の技能と専門性を持つ外国人材を即戦力として活用することが可能となります。
2024年3月29日に「工業製品製造業分野」が適用され、多くの業種と業務区分が追加されました。これにより、鉄鋼業、プラスチック製品製造業、コンクリート製品製造業など、さまざまな業種で特定技能外国人の受け入れが可能になり、幅広い分野で労働力不足の解消が期待されています。
特定技能試験を通じて外国人労働者の技術力と日本語能力を確認し、適切な支援を提供することで、彼らが日本の労働市場に適応しやすくなります。また、協議会の役割と参加手続きの重要性を理解し、企業間での情報共有や連携を促進することが、制度の円滑な運用と外国人労働者の権利保護に繋がります。
読者の皆様には、この制度を理解し活用することで、より良い労働環境を提供し、企業の成長と社会の発展に貢献できることを期待しています。特定技能外国人の受け入れは、単なる労働力の補充ではなく、多様性と革新をもたらす新たな機会です。労働力不足の解消だけでなく、国際的な視点から見た製造業の未来を切り開く一助となるでしょう。
GLORY OF BRIDGEでは
特定技能に関する詳細情報をはじめ、各国の優秀な人材を紹介する国籍人材紹介事業や登録支援機関としての職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援のサポートを実施します。 「少し話を聞いてみたい」「相談したい」等ありましたら、お気軽にご相談ください。専門スタッフが無料で相談で貴方の相談に乗ります。
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